9月21日の「国際レッドパンダデー」にちなんだレッサーパンダのはなし


毎年9月の第3土曜日に制定されている国際レッドパンダデーにちなみ、夢見ヶ崎動物公園でもミニイベントがありました。お話してくださったのは、レッサーパンダ担当の長谷川さん。野生のレッサーパンダの生息地、ネパールへのエコツアーに参加したお話も聞くことができました。

レッサーパンダは「光り輝くねこ」

レッサーパンダの学名は「Ailurus fulgens(アイルルス フルーゲンス)」と言い、「アイルルス=ねこ」、「フルーゲンス=光り輝く」という意味があるそうです。「シセンレッサーパンダ」・「ネパールレッサーパンダ」の2種類がいます。日本の動物園にいるレッサーパンダはほとんどがシセンレッサーパンダだそうです。見た目が少し異なるみたいですね。
ちなみに、「レッサー」とは「(ジャイアントパンダに比べて)小さい」という意味。英語では、「劣っている」という意味合いをふくむ「レッサー」ではなく「レッドパンダ」と呼ばれるようになってきているのだとか。

片道3日!レッサーパンダは富士山より高い山に住んでいる

エコツアーは、レッドパンダネットワークという保護団体が主催しており、ツアー代金の6割が自然保護活動に運用されているそうです。レッサーパンダの生息地であるネパールの山中まで…飛行機、車での移動、登山を含み、なんと片道3日!すごい距離です…。
長谷川さんはレンズを3本とカメラを持って行かれたそうですよ。

ネパールで撮影したレッサーパンダの写真を紹介する長谷川さん

なぜネパールなんでしょうか?実は、中国では、野生のレッサーパンダの生息地に入ることすらできないそうです。そもそも、レッサーパンダは絶滅寸前のひとつ手前である「近い将来絶滅の危険性が高い種 (Endangered, EN)、」とされています。ワシントン条約の中でも、国際的な取引は厳格に制限されている動物なんです。

そうした状況の中、ネパールには野生のレッサーパンダが約5000-8000頭いると言われています。(インドやミャンマーにも2500頭ほどいると言われています)。
標高3800mの霧深い山の中、オス1匹とメス数匹の群れで木の上を中心に暮らしているそうです。主食は、動物公園と同じく笹の葉。ただし、柔らかい葉はダメ、食べれられる種類は2種ほど… (笹なら何でもよいわけではないんですね)!

野生動物保護と人の生活のバランス

長谷川さんがエコツアーで驚いたことのひとつは、ネパールにはハゲ山が意外にも多く、レッサーパンダはそういった山に残る森林で生活していたことだそうです。
現地の生活に必要な燃料の薪のために森林が伐採されたり、放牧される動物がレッサーパンダの主食を食べてしまうなど…、人の生活と野生動物の生活のバランスをとることが非常に難しいそうです。国際的には保護の重要性が叫ばれていても、現地では「悪魔の使い」や「害獣」としてとらえる方も多く、保護がしやすい環境とは決して言えないようです。

レッドパンダネットワークでは、現地の人や子供たちへレッサーパンダを知ってもらう普及活動やレンジャー育成、密猟の防止、自然や野生動物と共存していくための生活のスキル獲得や経済的支援、森林再生活動など幅広い活動を行っています。
野生動物の保護を考えるには、動物だけではなくその周りの環境へどう働きかけるか?どんなバランスを保っていけばお互い共存できるか?を考える必要があるんですね。

動物公園にいる動物たちへの視線が、少し変わりそうです。

レッドパンダネットワークでは、レッサーパンダに関する資料なども公開されています。興味がある方は下記のリンクからどうぞ。日本人スタッフもいるので日本語の資料もあるそうですよ!

https://www.redpandanetwork.org/get-involved/international-red-panda-day/

子供から大人まで楽しめるパンフレット「レッサーパンダのひみつ」も公開されてます。興味がある方はぜひチェックしてみてください。

関連情報